【‡第一章 時の風に誘われて‡】

3/21
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
『なんだってなんだよ…今出るのか?』  マイズがいかにもまだか?…的な物言いでスケープを急かす。 『今から出る所だ』  スケープはそんな物言いに正直苛立った。いつもマイズは自己中心的なのだ。 『遅せぇッ!はやッ…ガガ…しガ…と手遅ガ…れ…なる…ガガガガ』  突然ノイズらしき超音波みたいな物が流れ、スケープ達の会話を遮断していく。 『おい大丈夫か?電波悪いみたいだが…』  突然の通話不調に違和感を覚え、多少の心配な言葉をかける。 『え、…しジジ…た。ジガ…始まっガ…早…プツ…プープー……』  電話からプッと切れた音がした。…プープーと受話器の向こうから音が聞こえる。 『オィッ…切れやがった。大丈夫かぁ…アイツ』 《どーしたのぉ?》  二階から妹のリーネが起床してきた。まだ目が寝ている。 『ぃや、なんでもないよ。お兄ちゃんこれから少し出掛けるから、留守番頼むぞ?』 『嫌』  キッパリ断るリーネ。 『一緒に連れていきなさい』  一人でお留守番は嫌らしい。寝ぼけながらも強きにスケープを威嚇する 『嫌無理だって…悪りぃッ!』  バッと逃げるように扉を開けて外の世界へ 『コォラー馬鹿アニキぃ ー………....』  リーネの怒号も着いてくるが、だんだん離れていく。  マイズの身に何が起こったかわからないが、とにかく急いでガロース橋に向かった。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!