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『おーいマイズーッ!…返事なし…か。一体どこに行った…自分で来い、て言ってたのによ…』
キョロキョロ辺りを見回す。しかしマイズらしき人物は見当たらない。
『朝早くから呼びだしやがって…うぅさみぃ。』
まだ冬も終わったばかりで雪溶けの時期。すぐ帰ると思っていたスケープは少し薄手の服だった。しかし色々持ってきた。
『最近人さらいが増えてるらしいからな…懐中電灯と、ホッカイロと、…全部あるな』
リーネにも最近“人さらいが続出してるみたいだから気をつけなさい”と口癖みたいに言われている。
なにがあってもいいように、何をされてもいいように。マイズと付き合う以上あらゆる場面を想定して準備をしなくてはいけないのだ。
『…にしても遅せぇ。それともアイツ本当に拉致られ……ん?』
朝なのにも関わらず人気のない橋。いつも人気はないが、この時間ならば少し見渡せば散歩してるオジサンや、買い物途中のオバサンやら通ってもおかしくはない。…偶然だろうか。
俺は橋の前まで来たが、橋の真ん中に小さな穴っぽい空間が空いていたことに気付く。
誰がの悪戯だったのならば危ないと思い近づく。
『なんだこの穴…?真っ暗じゃないか…』
…
おかしい。下には確かに川が流れている。橋に穴が開くならば、その中からは下に川が流れる背景が見えるはず…
『ん…なんだ…、この穴ッ…空気を吸い込んでやがる…ッ!』
その空間がマンホールや落とし穴とは違い、空気を自ら吸い込んでいる事を悟った瞬間、吸い込みが激しくなった。
『んだコレッ…急に吸い込みがッ…や…このままだと…もッ………うぁッ!』
急激に吸引が増す。橋の上で踏ん張る自分の足にも限界が近いのは2、3秒でわかった。俺は耐え切れずその穴に吸い込まれてしまった。
暗転する視界。
その穴はスケーフ゜を飲み込んだと同時に消えてしまう。まるでそれは――
“―色、鮮やかに染める色を集めるように”
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