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『えッ?…あ、スケープ…ね。私は“ルーチェ”。ルーチェ・マリアランス・ショコラント。私は一応タスカルだけど…スケープもよね?』
いきなりの自己紹介に移る相手の言葉を認識するのに数秒かかったが、ルーチェも自己紹介をした。これが初対面がする1番最初のことだろう。
『あぁ、いきなり取っ捕まればこの様さ』
なんて理不尽なのだろうか。スケープは自分が何もやっていない事をルーチェにも訴えた。
『ま、私もそんなところかな。私はこの世界にいてから少し時間があったから色々把握出来てたけどねぇ。でも捕まっちゃった』
アハハハ、とルーチェが笑い飛ばす。少し強きで姐御みたいな喋り方。その姿はまるで……
『…リー…ネ…?』
一瞬だ。ルーチェがリーネとダブッたのだ。リーネも気が荒く…まではないが強い方。スケープは兄でありながらリーネには頭が上がらなかったのだ。そのまま無意識にリーネの面影を探してルーチェの顔を見つめてしまう。
『どッ…どうしたのよ…?』
スケープに見つめられればなんだか恥ずかしくなり、顔を少しそらせば頬を赤らめながらもそのわけを追求しようとする。
『へッ!?あ、…ぃやあ…なんでもッ…よ、よしじゃあルーチェ。どうやって出る気だ?こんな鉄、焼くか切るしか―――』
『それはコ・レ』
ガンガンと軽く柵を叩いてみる。無論びくともしない。ルーチェを見ると、服のベルトに付いていた小さい剣のキーホルダーを出し、“赤い石”を取り出しそのキーホルダーに擦り合わせるように付けたのだ。そして自らの頭上に投げる――――
【パーツカラー・赤・燃え上がれ…聖なる炎ッ!【フィアフルソードッ!】
舞い上がる風・向かいの牢からでも伝わる熱い熱気。そして赤くまばゆく光る空間。数秒もするとその小さな剣は周りから炎を出し、舞うようにキーホルダーを包めば炎は突然面積を増して行きルーチェの肩くらいまで大きくなり…炎が弾けるように消えればそのキーホルダーは赤く、大きな剣になってルーチェの頭上より降ってくる。その剣をキャッチし、反動でクルッと一回転し――
――成功ッ★
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