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二十歳前くらい格闘系のマンガをよく読んでいた。
ある会社で、嘱託社員で他の工場へ出荷する梱包系の仕事をしていた頃。
梱包作業が済んだ半製品を配送のトラックに乗せるまで、いつもトラック待ちの時間があった。
ある日、目についたのが白く塗装されたコンクリートの白い壁。
その時に好きだったマンガの格闘家の拳が思い浮かんだ。
壁に突きを入れていれば、あのような拳になるのだろうか?
殴ってみた。
痛い。
加減をしたつもりだが痛かった。
もう少し強く。
やはり痛いが続けてみた。
中指の辺りに、血が滲んできた。
不思議と痛みに慣れてくる。
それから一日20回の突きを入れ続けた。
握った拳の中指辺りの軟骨がつぶれ他の指と同じくらいになってくる。
皮も厚くなってきている。
2週間程で壁では物足りなくなっていた。
電信柱やブロック塀を殴りはじめた。
しかし、握った人差し指と中指の高さが揃わない。
2ヶ月で飽きた。
あれから20年、普通の拳に戻っている。
学んだこと、殴るほうもいたいんだよ。
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