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「わあ!」 私は父と母と三人で初めての動物園へと来ていた。 私はテレビでしか見たことのない動物を実際に見れることに興奮を覚えた。 「リコ、あれはゾウさんだよ」 「リコ、あれはキリンさんよ」 「すごいね!すごいね!」 私は父と母が優しく説明してくれているのに耳を傾けながら、動物を見れたことの嬉しさでぴょんぴょんと飛び跳ねていた。 そして、また違う動物の柵へ近づいたときだった。 ふ、と目に入った園内を移動する従業員らしき人の後ろに何かが立っている。 ぞくり、とした。 何に怯えたのかは自分でもわからない。けれど、確かにあれは不自然だった。 「ママ、パパ、」 恐怖でアレから目を離せずに、隣にいる母たちに助けを求めた。 けれど母たちからの応答はない。 おかしい、と思い隣を見ると母も父もいない。 それどころか、先ほどまで賑わっていた動物園に人はだれもいなかった。
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