葉月

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「ゑみ、明日はヒマ?日曜だし、どっか行かね?」 葉月が夕飯を終えて片付けに向かう私に聞いてきた。明日は、臨時集会の予備日ということで早苗と遊ぶ予定はキャンセルしていたので空いている。 「空いてるけど…」 元カレと普通に遊ぶものなのだろうか。大体、私って一応は志狼くんの婚約者なんだよね…。 「あ。志狼くんとか彩音も一緒に遊ばない?」 私が提案すると葉月は嫌な顔をした。大概の人と仲良く出来る葉月に露骨に嫌がられているとは。志狼くんもすごいなぁ。 「俺さ、彩音、苦手なんだよ」 葉月がこっそり囁いた。 彩音だったのか!志狼くんじゃなくて良かった。 「それに、2人で遊びたいんだよね」 間近に迫って顔を近付ける葉月にドキッとした。今だに葉月に慌てる自分が悔しい。それに、決まってはいないが、婚約者である志狼くんに申し訳ない。私は両手で葉月を押してこれ以上の接近を許さなかった。 「あ…明日は……和子さんと修業だったかも?」 勝手に予定を偽った。葉月は一瞬、ポカンとしていたが、納得してくれた。
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