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「何で私なんですか?一度も話したこと無いですよね」
数時間前…平然とさも当たり前のことのように話した言葉に憤りを感じた
分かっていた
俺のことを覚えていないこと
あの日のことをも覚えていないこと
そして俺のことなど何一つ知らないことも…
分かっていた…
お前にとっては取るに足らないことだったのかもしれない
俺にとっては始まりのあの日
全てが輝いて見えたたったの数時間過ごしただけのあの日
あの日があって今の俺がいる…
俺のことを何一つ知らないお前のことは何でも知っている…
今までどんな風に、どう生きて来たのか…
全て知っている…
忘れてしまえば良かったのかもしれない
お前のように
でも俺は忘れようとは思わなかった
ただ…何度も思った
あの日出会わなければ…
そう何度も思った…
それでも出会ってしまったのだ
出会ってしまった…
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