幸せを君に

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ニコニコと言うよりはニタニタと笑みを浮かべる峰岸を軽く睨んだ 『良かったですね。坊ちゃんこの20年間、一途と言うか…執念深いと言うか…』 全く気にせずどこか遠くを見据えて話す峰岸を遮った 『何が言いたい』 『いえ、え~っとつまりですね。坊ちゃんの想いがやっと通じて、まあとにかくこうして恵様と暮らせるようになる為に、わざわざ他社で働くようなことまでした訳ですから計画通りに進んだようで、何よりです。』 『ああ』 『これで会社も安泰ですね…』 本当に良かった、良かったと嬉しそうに言う峰岸には本当に色々と迷惑を掛けてしまった 『峰岸、ありがとう。峰岸の助けが無ければここまでこれなかった』 一瞬、目を見開き信じられないという顔をされてムッとした 俺でもたまには礼ぐらい言う ハンカチで目頭を抑える峰岸をソファーに座らせ珈琲を出した 40過ぎたおっさんがグズグズ泣いて、珈琲を見てさらに泣く姿は… とにかく面倒だ 放っておくことにして、書類に目を通す 『で?例のスキー場の件はどうなってる』 『はい、現在のところ値段について交渉中ですが…』 『なんだ』 『はい…このところ赤字続きのようであまり良い物件では無いかと…』 『じゃあ、従業員はそのままでとにかく買いたたけ。後は俺がやる』 『あの…つまり個人で所有されるということでしょうか?』 躊躇いがちに言う峰岸に呆れる めぐといつでも行けるように買うのに、会社の物にしたら意味が無い 『勿論だ』 『それでは早急に取りかかります』 峰岸が帰るとまた静寂に包まれた めぐはまだ眠っているのだろうか
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