幸せを君に

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何故 どうして 俺から逃げようとする めぐに触れてめぐを感じて もう手放すことなど出来ないと言うのに 力の抜けためぐが玄関のドアにもたれかかり、俺の体で挟んだ 逃げることなど出来ないように鍵を掛けようと伸ばした腕からスッと身を引かれた そんなに触られるのも嫌なのか…俺は情けない顔をしているのだろう、めぐの驚いた表情で分かる そのまま腕を伸ばして鍵を掛けた 伸ばした手でめぐの頬に触れて抱き寄せた どうしても手放すことなど出来ない めぐがどんなに嫌がっても 『すまない』 めぐの意思を無視していることは分かっている 『悪いが…解放してあげることは出来ない。恵…やっと手に入れたんだ。やっと…』 やっと20年も掛かってやっとこの手で抱きしめることが出来たのだ 『それって……どういう』 顔を上げてまじまじと俺を覗き込むめぐにハッとした 恥ずかしいことを口走った気がする 『まさか…私のこ』 あえて口にしようとするめぐの口を塞いだ。 俺がめぐを好きなことぐらい分かるだろ 『言うな。…とにかく、俺は恵が居れば幸せでいられる』 めぐのことはこれから幸せにする だからそばにいてくれと願いを込めて抱き締めた
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