手紙

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教室に行くと座席表が書いてあった。 私の席は廊下側の前から二番目。 彼は窓側の一番後ろの席。 離れてしまった。 でも同じクラスで本当によかった。 クラスになじんできた頃、私と彼は一緒に帰った。 一言も話した事がない。 もちろん帰りも全然話さなかった。 その日メールで 「話せなくてゴメン」 ってきた。 私は 「ううん、私もだから」 と返した。 私と彼は帰れる日は一緒に帰った。 少し話せるようになった。 でも私と彼は学校では話さなかった。 それから彼が学校に来る日が少なくなっていった。 誰に聞いても理由はわからなかった。 でも毎日メールをした。 理由を聞いても 「風邪」 しか言わなかった。 ある日、彼の友達が私に言った。 「あいつ、ガンで入院してるよ」 私は泣いた。 声を上げて泣いた。 哀しかったからじゃない。 私に本当の事を言ってくれなかったから。 お見舞いに行こうと思った。 でも彼は私に会いたくないと言った。 ガンの抗がん剤の副作用で髪の毛が抜け、私に見られたくないらしい。 それでも私は毎日メールをした。
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