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温かい日差しが柔らかく顔にかかる。
あぁ、朝だ。
両手で顔を包み擦る。
最悪だ。
最悪……。
思い出すと、じんわりと溢れ出る涙。
慌てて拭う。
昨日散々泣き明かし、目と鼻が痛いんだ。
喉もかれてるんだろうな。
「はぁー……」
小さく溜め息。
今日が日曜日で良かった。
まだ寝ていようと、深く布団に潜り込む。
「おはよー!! 愛陽(のりや)」
大きな音を立ててドアが開く。
今一番会いたくない相手。
幼馴染みの
叶 力(かのう りき)
「おいっ! 朝だぞっ! 起・き・ろ!!」
16歳にしては高い声。
握り締めた布団を強い力で引っ張られる。
「やめろ」
掠れた声で言うと、
「どした?」
力を緩め、布団越しに優しく訊いて来る。
リキ……
だから、優しくする相手、間違えてるし……
「何だぁ? 風邪ひいたのか?」
優しい声色。
声を聞いて、さらに自覚する。
散々悩んで、気付いて、泣いて――
幼馴染みの、それも同性に“恋”してる事実。
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