やわらか

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「ずっと、好きだった」 また呟かれ、信じられなくて、 だって、俺が気持ちに気付いたのは、 好きと自覚したのは、金曜日の事。 リキは、ずっと? 「俺、お前と背丈が一緒くらいになるまで、言わずにいようと思ってたんだ」 少し体を放し、 真剣な顔。 「でも、泣いてくれてんだもん。 俺に“彼女”が出来たと思って」 また、にっこりとほほ笑む。 「愛陽。俺の事、好きだろ?」 首を傾げ訊いて来る。 「―――すっ好きっかも?」 今更“?”付きで言ってみる。 そんな答えでも、笑みはさらに大きく、 「もう一度、キスしてい?」 可愛く首を傾げ、 男らしい顔付きで訊いて来る。 いや。 何て言えない。 目をギュッと瞑り、唇を待つ。 鼓動は高鳴り、 鼻息が荒くなる…… チュ―― 鼻先にキスをされ、目を開けた。 視線が合わさると、温かい両手で顔を包まれ、今度は、唇に落ちて来る。 柔らかい、想いの籠ったキス。 背中にかかる陽の光りと、リキの陽の様に温かい体に包まれて、 あろう事か、眠たくなって来た。  
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