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私の上に馬乗りになった男は、右を向いて寝ていた私の体をぐるりと反転させると、そのまま右の肩を押さえ付け私を俯せにさせる。
肩を押さえ付けた左手はすぐにまた口元へ持っていかれた。
苦しい。
何?
どうして?
『いいか?
声出すなよ?』
私の目の前の包丁を更に私に近付けた。
ゆっくりと男の手は私の口を離れる。
『…………………!』
声が、出ない。
叫ぼうとしても、音にならない空気の塊が私の喉を通って吐き出される。
『…………………!』
『……………!!!!』
なんで!
なんで!!
声が出ないの!?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
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