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俺、何で飲める時間に酒我慢するような仕事選んだんだろう。
っと、あんまり思考が旅立つとまた怒られるな。
彼女――里中 智枝梨(サトナカ チエリ)に。
「新人! 次こっち」
ほらまた…――。
――ひたすら店内を駆けずり回って、待っている客もなくようやく落ち着いたのは二十一時を過ぎた後だった。
「新人、休憩入るよ」
ちょうどテーブルの片付けが終わって、お盆にテンコ盛りの皿ともう片方の手に七つのジョッキを持って洗い場に向かう途中、あの忙しさを忘れてしまったような涼しい顔をした彼女が同じようにテンコ盛りの洗い物を抱えてきた。
「あ、えっと、まだ片付けていない席が……」
「あぁ、んなの、出てる人たちで何とかなるから。洗い物、よろしく」
二人減ったところで何の問題もないといった顔で俺に言うと、洗い場の少年に声をかけて彼女はきびすを返して事務所へ入っていった。
「あ、お願いします」
そういえば店に来てからまともな休憩をまだもらっていないことに気づいて同じようにきびすを返した。
「あ、そうだ、ご飯食べる? まかないでいいなら食べ放題だけど」
「は、はぁ……」
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