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放課後になり、真帆が最低限の荷物を持ち委員会に向かおうとすると、理佳が話しかけてきた。
「終わったら、私の所来てね」
「わかったわ」
真帆は笑って頷き、教室を後にする。
帰宅する者や、部活に向かう者達で混み合った廊下を真っ直ぐ進み、真帆は小さく溜め息を吐く。
(…めんどくさいけど、仕方ないか)
途中で擦れ違った教師が真帆に声を掛ける。
「あ、朝倉!」
「はい?」
「明日配って欲しいプリントがあるから朝イチで職員室な」
「わかりました」
真帆の返事を聞かない内に教師は去ってしまった…。
「…まぁ、いいんですけどね」
真帆は教師の背中に向かって小さく呟いた。
明るく真面目に振る舞うのは簡単。
ただ根っから気が弱く、頼まれたら嫌とは言えない。
そんな真帆だから男女問わず友達は多い。けれど、彼女が本当に心を開ける相手は限りなく少なかった。
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