夢の終わりに

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あの人が死んだ様に眠る時間が長くなっていた。命の侵食が早まっているらしい。 きっと、保って後一月ほど。その刻が来れば、彼女の時間と僕の役目は終わる。 ほとんど寝台から起き上がれなくなったあの人の枕元に、庭の花を飾るのが僕の日課になった。彼が好きだったからと、あの人が植え散らした月の花。 ささやかな大地を埋め尽くす花の中から、見栄えの良いものを選んでは摘み取っていく。
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