とりあえず将来の事とか考えたくないよね

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ふと、『コレ』が静かになったことに気付き『コレ』の方向へ視線を移した。 『コレ』は、肝臓に直接受けたダメージの為か口から紫色の泡を吐き、耳からは薄い黄緑色の粒々(原寸大→〇〇〇〇〇〇)を気味の悪い粘液と一緒に垂れ流していた。 「今日も何事もなく過ごせそうだ…」 そう呟いて俺は少し歩みを緩め、春の日差しを満喫しながら我が母校である岩動(イスルギ)高校を目指した。 「さーとーるー!おいてかないでーっ!」 既に校門を抜けた俺は下足ロッカーから内履きを取り出し靴を履き変え、掲示板に張り出されたクラス表で自分が新たに割り振られるクラスを確認し、そこへ足を向けた。 『コレ』、いや、今は置いて来てこの場に居ないから『アレ』?まぁどっちでもいいや。 考えるだけ無駄だよね。 大体回復が早過ぎる気がするんですけど。 まるでゾンビだ。 とにかく、誠一の名前が俺と同じクラス表にあった。 ショックのあまり、今なら何かの悟りを開けそうな気がする。 無言でもう一度、追い付いて来た誠一の肝臓のあたりを今度は更に強く親指で突いた。 流石に動かなくなったね☆ 鬱屈した気分で階段を昇り、我がクラスとなる二年三組のある三階に着くと同級生がチラホラと教室前で笑いながら話をしていた。 どうやら昨晩のバラエティ番組の話のようだ。 その隣を通り過ぎ、俺は自分が一年間お世話になる教室の扉を開けた。 「聡ーっ!遅いぞーっ!」 何故か既に誠一が席に着き、大声で俺に手を振っていた。 つい先程まで耳から卵を出産していたくせに。 こいつ、ル〇ラとか使えんの?
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