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何事もなかったかの様に、今度は掃除ロッカーから箒を取り出し、誠一の鼻の下(人☆中)に箒の柄を突き刺した。
ついでにもう一本の箒の柄で鳩尾を貫き、たまたま鞄の中に入っていたビニール紐で誠一の体を拘束して掃除ロッカーの中へと押し込んだ。
うん、今日も何事もない。
平穏大好き。
程なくして新しく担任になるであろう一人の教員が教室に入って来た。
「おーい、お前らクラス名簿に書いてある出席番号順に席に着けー」
クラス一同、教師の声に従い席に着いた。
廊下側最後尾から三連目と、中々のポジションだった。
何故か俺の席の隣は空いていたが他の席は埋まって居る。
誠一も当然の様に窓際最後尾の席に座っていた。
問題はどのようにしてビニール紐の拘束を解いたかではなく、何故手と足を縛った紐が、今亀甲縛りの為のものとして使われているかです。
そもそも両手両足の自由を奪うだけの紐の長さでは、あそこまで芸術的とまで呼んでも良い亀甲縛りなんて出来る訳がない。
こちらに体ごと向けて手を振っている誠一との心の距離を更に広げ(東京-大阪間位)、俺は視線を前に戻した。
新しく担任となった教師の名は水城胡桃(ミズシロクルミ)、投げやりかつガサツな言動が目立つが、見た目はポニーテールの似合う綺麗さと可愛らしさを兼ね備えた人だ。
因みに去年の担任だったりもする。
生徒からは胡桃ちゃんなんて呼ばれてはいるが、本人は全く気にしてはいない様子で、生徒の事を真剣に考えてくれる人だ。
お蔭様で、男子生徒のみならず女子生徒からも絶大な人気を誇る。
「それからお前らに一つお知らせがある」
そう言って胡桃ちゃんは不敵に笑った。
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