大東亜戦争戦死者の書

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一、私は敏子を離別します。 一、敏子に再婚させて下さい。 一、私に成仏させて下さい。 私は敏子が現在の不幸に打勝って再婚し、母となり幸福になった時成仏出来ます。その他に成仏はありません。追善供養は不要です。 お父様、お母様、敏子をいたわってやって下さい。彼女が涙もかれてしまい、精も根もつきる程の不幸に落としたのは私です。亦悪い星の下に生まれた私であり、敏子でありました。どうかいたわって下さいませ。 最後の願はこれ丈です。 彼女が戦火の中に身を挺して来てくれたのも私に天が与えた最後の御慈悲であったことでしょう。 私は人生の喜びも、彼女によって与えられました。収容せられても此の淋しい獄舎にて、暖い頼りや衣類を送って呉れ、その愛情につつまれて居ります。私の心は幸福でした。前後の事情は彼女がお父様、お母様に報告して呉ましょう。皆様にも、もう会えませんが、左様なら。 お父様お母様御長生下さい。御機嫌よく。 三月二日 罪の子 お父様 お母様 (41歳) 上海にて法務死
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