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近藤とは旧知の仲であったが、ますますその気概に土方自身も惚れ込んでいった。
自分と同じ夢を持つこの男を、本物の武士にしてやりたい。
この男こそ武士の中の武士であると、この世に知らしめてやりたい。
土方も薬の行商がてら、あちこちの道場に顔を出しては剣の腕を磨いた。
道中、喧嘩をふっ掛けられては相手を熨し、薬を売りつけたりもした。
以前まで渋々やっていた行商が、剣の修行だと思えば、俄然やる気が出たものだ。
──
(こいつがいなきゃ、
俺ぁ…。)
土方はまた、「クソッ」と洩らした。
総司はただの風邪ではない。
土方は一切の願望を拭い去り、確信した。
試衛館時代に、近所の子供達に虐められようとも、「口減らしに出されたクセに」と陰口を叩かれようとも…。
近藤の前では心配をかけまいとして気丈に笑っていた総司だ。
病に罹った事を素直に言うはずがない。
池田屋の時も、体調が悪いのにも拘わらず、昏倒するまで闘ったのだから。
(松本も山崎も…恐らく秋山も
口止めされたに違いねぇ。)
そんな総司の性格を知っていながら、「総司はただの風邪だ」と思い込もうとしていた自分の甘さを、土方は腹立たしく思った。
「……さん、
わた…は、ま……れます。」
「ん…?」
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