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そうである事を願う。
願いながら…、ハッと何かに思い至り、総司の方を振り返った。
…複雑だ。
(人間ってのぁ、
身勝手な生きモンだな…。)
うっすらと自嘲しながら荷の方へ向き直ると、思った以上に着物を散らかしてしまっていた事に気付いた。
(後々うるさそうだ…。)
「散らかされた」と怒る諒の顔が、容易に想像出来る。
几帳面にたたみ直して着物を戻していると、今度は着物の間からさらしが出て来た。
(そういやアイツ、
背中に傷があるとか言ってや
がったな…。)
横浜の出で、家族を亡くした。
諒の口振りから、一度に家族全員を喪ったのだと察した。
そしてその時に負ったのか定かではないが、背中には大きな傷があるとか…。
それぐらいの事しか、京に来る前の諒の生い立ちは知らない。
たが確実に言えるのは、総司と同じく…諒も一度、居場所を失っているという事だ。
親兄弟だけでなく、身寄りも無い。
冗談めかして自らを「天涯孤独」と言った諒…。
(…そうか。
だからおめぇらは
似てやがるんだな…。)
まるで本物の兄弟のように仲睦まじい総司と諒。
藤堂と手合わせした時の諒の目が、…空気が総司のソレと似ていたのに納得した。
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