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男は熱砂の地を長く歩いた旅人が水を求めるように、女の中の潤みを求める。
そして、灼熱のエネルギーを溜め込んだ男の体躯に抱きとめられた女の身体では、恥じらいとプライドが溶けて蒸発していった。
耳元の上気する男の息遣いと汗ばむ男の背中を手のひらに感じながら、前後不覚のまどろみの中で、女は男の力強さに逞しさと生命力に惹かれていく。
一方、男は女の悩ましげな視線に釘付けになり、愛しさで、冷たく細い女の身体を温めるように抱きしめた。
翌朝、目覚めた女は、隣に眠る冴えない疲れたオジサンを見つめていた。
疲労が染み込んだような、やや気色の悪い顔。
薄く刻み始めた皺がより老けて見える。
ルックスもステータスも、財力もイマイチ・・・。
けれど、セックスの相性が抜群のこの男は、自分に一番女を感じさせてくれる最高の男だった。
女は、ポーチかからベージュ色のルージュを取り出すと、唇にひき直した。
そして、男の脱ぎ捨てられたシャツの目立たぬところへ接吻を残し、再び投げ置く。
しわくちゃになって、しんなりとしたシーツの波ごしに、幸せそうに眠る男の顔があった。
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