別離の雪

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一人、僕は電車を待つ。 はらはらと空から雪が舞う。 通りで肌寒い訳だ。       震える手を見て思わず嘲笑う。   「それだけが理由って訳じゃない、か…」       震えてるのは寒さの所為じゃない。       怒りでもなければ、悲しみとはまた違う―       ならば、この感情は何なのか?   ふと、暗くなった夜空を見て理解する。 「―嗚呼、僕が闇に紛れたからか」 先刻まで輝いていた月は、もうそこには無かった。 その代わり、雪は降り続いた。 『月森って言うん?綺麗な名前やなあ!』 一言目で『珍しい』とは誰もが言った しかし、彼は少年のような無垢な眼を僕に向けた 既にその時、心は攫われた
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