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──さく、さく。
二人が雪を踏む音だけが辺りに響く。
まだ降って間もないらしく、かなり柔らかい。
かごめは時々足をとられ、ずんずんと歩く犬夜叉にだんだん離されていく。
「犬夜叉、ちょっと待ってっ」
三メートルほど間が開いた頃、かごめは犬夜叉を呼び止めた。
犬夜叉はその場で立ち止まり、後ろを振り向く。
かごめは転ばないように気を付けながら、小走りで追い付いた。
「犬夜叉歩くのはやいよ」
「おめーが遅いんだろ」
そう言いつつも手を差し出してくれる。
そんな犬夜叉のさりげない優しさが、かごめは好きなのだ。
「うお、冷たっ」
手袋をしていないかごめの手はひんやりしていて、さすがに犬夜叉にもこたえたらしい。
ぶる、とちょっと身震いしつつそう呟いた。
「あ…ごめんね、」
かごめが謝ると、犬夜叉はその手をぎゅっと握りしめ、何も言わずに歩き出した。
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