きっかけ

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少し早い時間帯の教室。 まだ他の奴らは登校してなくて、静かだった。 そこに、俺ら三人は居た。 いつもの三人。 早く来ることに意味はないのだけれど、 なんとなく、 この時間帯には俺らは居たんだ。 俺は教室の窓から見える校庭を見ていた。 健『なぁー、』 大地『何だよ。』 健『マジ暇じゃね?』 大地『…始まった。』 いまだに暇と嘆いている健を見て、大地は呆れたように溜息を一つついた。 須賀 健(すが たける) いつもの日常に飽きあきしていて、日々刺激を求めている。 外見中身共にチャラ男。 かわいい系のビジュアルと、その人懐っこい性格で先輩後輩・男女問わない人気者だ。 たまにする突拍子のない行動や発言はどうにかしてほしいものだが…。 そして、もう一人…。 吹田 大地(ふきた だいち) 健とは外見中身共に正反対で、なぜこの二人が仲が良いのか不思議なくらい。 少しだけ着崩した制服に、黒縁眼鏡。 健とは違い大地はカッコいい系の部類だ。 大抵は本を呼んでいて、温厚冷静な性格。頭も良い。 そんな二人に背を向けたままいるもう一人の男子はこの物語の主人公。 渋谷 優磨(しぶたに ゆうま) 結構な遊び人。何事にもあまり興味を示さないせいか、クールでカッコいいと女子から人気だ。 程よく着崩された制服も手伝っているのかは定かではないが…。 健『なぁー、優磨も暇だろ?』 不意に後ろから声を掛けられた。 優磨は何も言わない。 誰も構ってくれないのが面白くなかったのか、健はぶっすーとした顔で机に突っ伏した。
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