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私が中学校の行事で一番体育祭が苦手だった。
体育祭が嫌いだったわけじゃない。
体育祭での一つの種目が出来なかったからだ。
それはクラス全体の種目で、それが出来なくてクラス中から責められた時、私は体育祭なんて消えて無くなればいいと思った。
人と何かを協力して作って成功させるなんて、私には無理だったから。
一年から同じクラスだった人に「私達は優勝を目指してるんだから!出来ないんならクラスから出てけ」っと言われた時は泣きそうだった。
私はハッキリ自分の意思を伝えられず、何時も黙っている事しか出来なかった。
一つの種目と言うのはムカデ競争のことで、私の一番嫌いな種目。
いまも嫌いだけど。
結局は中1も中2も優勝はしなかった。
中2から中3に移り変わる時に私は今年はムカデ競争が無くなって他の種目を作ればいいのにと思った。
ムカデ競争はけが人が多く、最も危険な種目だったから。
でも、私が中3の時もムカデ競争はあった。
最初のうちは練習に入ってたけど、やはり出来なくて、私は笛の人と一緒に見ているだけになった。
でもその年はあまり責められたはしなかった。
きっと諦められてたんだと思う。
他のクラスの人からも、「アイツは駄目だな」とか「アイツが入ったらまず優勝は無理だな」って言われていた。
その日々が続いたある日、何人かの女子に「苦手なら一番後ろに入る?」と聞かれて、私は「うん。」と答えた。
駄目元でもせっかく入れてくれたんだからやるだけやってみようと思ったからだ。
結局は一番後ろについたけどやっぱり出来なくて、今度は二番目か三番目に入れて貰った。
私は主にカーブやダッシュが苦手で、前の人の肩を何時もそこで強く持っていた。
後ろの人に「強く持ってるぶん前の人に凄く負担がかかるんだよ」と言われたり「最初から前の人をこかすつもりでおしていけばいいんだよ」とか「カーブの時は外側は大股で内側は小俣になるんだよ。」って言う色々なアドバイスを受けながら、私はその時から毎日その中で練習した。
日に日になんとか上達していき、あまり何も言われなくなった私は『これは優勝も夢じゃないんじゃないか?』という気持ちが芽生え始めた。
本番が近くなった時は毎日朝練や昼休みに練習があり、クラス中が集まって、5分でも10分でも少しでも長く練習した。
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