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俺こと小守 照(おもり てる)はこの17歳と言う高校二年生を満喫していた。そう、それもまさに最高の。
何か得意なスポーツがあるわけでもないし勉学の方も良いとは胸張って言えるわけもないし、何よりルックスが良いとは思えない。
だが、俺にも春はやってきた。それも最高の、言うなれば松坂牛の肉一年分!!みたいな。
「ありえねぇ」
これが17年間連れ添った友人の一言だった。俺もありえないと思った。何度頬を抓り夢ではないと覚り返したことか。
事の発端はホームルームを終え俺が罰として図書室の掃除をやらされている時だった。
友人はクラブがあるそうだから去って行き、図書室には俺と彼女が残った。彼女は黙々と本を読んでいる。何の本かは知らない。だってブックカバーがしてあるからだ。
ちり取りでゴミを集めゴミ箱に捨て掃除道具を直しゴミ袋を持つ。
その時だった。
彼女は本を閉じバックに直すと、新たに小さな手紙を取り出す。そしてあろうことか俺に近付き俯き加減で
「はい」
と渡してきた。
そりゃ~、受け取った。
そして彼女は逃げるように図書室を後にしたのだった。
いや、うんあの時は浮かれて家まで帰る時の記憶が飛んでいて帰った時それなりに焦ったもんだ。
一人自らの部屋で手紙の封を切り白い便箋を広げる。
内容は端的
“夜9時に藤根公園”
それが彼女の手紙の内容。
そしてその手紙通り9時には公園に行った。
そして少し遅れるようにして彼女が来た。そして俯き加減で
「あの、付き合って下さい!!」
それが彼女―――
神静 夕燈(かみじょう ゆうひ)と付き合うきっかけだった。
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