No.2 第一の願いとバニラの香り

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「どうかしましたか?」 訝しがるジャッキー殿。 「――まさか。お願い事を思案していなかったと言うような事はまさか!あなた様に限って!」 僕の顔をじっと見る。 「四方(よも)やそんな馬鹿な事は、ないでしょうな?」 怖いです、怖いですってば! そんな顔をして、僕を一体どうする積もりですかっ! 「ば、馬鹿な事、言わないで、く、下さいよ。と当然で、ですよ? 決めてるに決まってるに決まってるに」 混乱して来たですよ。 「――では。お願い事をどうぞ」 う。何も考えてないよ。 「――――では。お願いをどうぞ」 そんな顔をしてたら夢に出るってば。 「――――――で、は。お、ね、が、い、を、どう、ぞ」 助けて下さい! 誰か助けて下さい! ひ~~とみ~をと~じてぇ~♪ 「――勘忍袋の尾が切れる、という慣用句をご存知ですかな?」 知ってます知ってます!知ってますよ! い、今、今、言いますからぁっ! 「い、言いますよ? 言いますよ? 第一の、お願いは」ごくり。 「お願いは?」「お、お願い、は――」「さあ」「あの」「さあさあ」 「その――」 「さあさあさあ! あのですね、いい加減に」 「お願いはっ!」 んぐっ。 緊張の一瞬!!
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