No.2 第一の願いとバニラの香り

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「僕をあなたのお嫁さんにして下さいっ!」 「承知致しまし」「ま、待てぇっ! ふぁ、ファイナルアンサーは、どこ行ったぁ!? 設定!蔑ろにしちゃ駄目っ! わっ、分かりましたよっ! 真面目にやりますから――」 「――どうしてなのでしょう? あなた様に小馬鹿にされると。殺意を覚えますねぇ」 サツイって何ですか? ボク、ワカラナイ。 「真面目なお願いですよね。ええ。当然、思案済みですよ。ええ。ええ。えー?」 「あ、あなたという、お男はっ!」 ぶるぶる震え始めるジャッキー。 「ややっ! ちょ、ちょっと、待って下さ――」 ジャッキーの我慢が限界に達しようとしていた、正にその刹那、ふと、僕は、ある出来事を思い出した。 当然、バニラの香りと供に。 僕はおもむろに口を開いた。 そして告げる。 「決まりましたよ。お願い」 「ほぉ。本当ですね? では。第一のお願い事は何なのでしょうか?」 「第一のお願いは、『僕の亡くなった妹を返して下さい』です」 「――間違いありませんか?」 「――間違い、ありません」 「……ふぁいなる、あんさぁ?」 「ファイナルアンサー、です」 ジャッキーが居住まいを正す。 目をつむり、そして開ける。 僕を一瞥すると、高らかに宣言した。 「委細承知致しました。では。あなた様のお願い事を叶えましょう――」
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