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「ちゃっ、違うもんっ! 僕、犯罪なんか犯してないもんっ! 清廉潔白にして純情可憐なロンリーウルフだもんっ」
男は狼。
「それにつけてもお前ってば、いつの間にそんな成長して」
カットソーの胸の辺りが、慎ましくて、なだらかな膨らみを帯びている。
それは緩やかなカーブを描いて、その下のくびれを強調。
腰周りへと連なる女性特有のラインを形成する。
「ちょっとぉ」
更に言わせて貰おう。
細過ぎない程好い肉付きの太腿と、引き締まってすっきりとしたふくらはぎと、きゅっと締まった足首の、生足色白肌コンボも悩殺的でありましていやはや全く我が妹――「だから何、人の体ジロジロやらしー目で何度も何度も何度もっ! この、妄想セクハラ王子!!」
「嬉しくねぇ! その王子嬉しくねぇ!」
今更もいいトコだし。
「そんな事よりさ、お前どうして?」
聞き糺(ただ)したい事は山程ありますぞ。
「んな事、あたしに聞かないでよ。分かる訳なくない?」
むむ。
「すっかりもう女子高生だなぁ。クラスの女子と会話してるみたい」
「嘘は止そうよ嘘は。女子高生と会話した事なんてないっしょ。見栄張ったって無意味――って、わっ! 何、涙ぐんでんのよっ!?」これが泣かずにいられるかってんでぇっ。
「ぐすっ。んぐっ。ふぐうっ」
「あー、もう。爆弾落としたって感じ? 参ったお手上げー」
肩をすぼめて両手を上げたまま、下唇を突き出し目を細める。
「慰めてっ! せめて慰めてっ! 思いは言葉にしなきゃ伝わらないのよっ」
「お取り込み中、申し訳ありませんが」
品のある、重厚なその声は。
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