NO.5 妹とバニラアイス

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突き飛ばした 階段の下まで止まらずにごろごろ転げ落ちた 妹は首をぐにゃりと曲げて ぴくぴくと痙攣して 赤黒い水溜まりが 広がって広がって 動かなくなった 僕はそれを見届けて あっはっはっと 笑った 「――僕は妹に嫉妬して階段の上から突き飛ばして、突き落として」 ダイニングには、僕と、ジャッキーさん。 それから、首の無い女子と、首から上だけの女子がいた。 元は同一だった、女子。 僕の気付かない内に、ジャッキーさんが後始末に従事してくれたに違いない。 ダイニングには、血痕は愚か、血臭すらしなかった。 床に横たわる首無し女子と、こちらに頭頂部を向けた女子の生首。 「殺しました」 「やっと、自分と向き合い始めたのですね?」 僕は力強く頷く。 鼻から息を吸って、口から少しずつ吐き出した。 「この日が来るのをどれだけ待ち詫びた事か!」 ふるふると震える。 「僕はもう留まってはいませんよ、ジャッキー医師!」 涙目になって微笑み返すジャッキー医師。 僕は思い出していた。 妹を突き落として大笑いしていた僕は、お母さんに下から見上げられた。 既に動かなくなっていた妹を抱き抱えて血に染まったお母さん。 お母さんは僕を見て叫んだ。 「何笑って見てんのよ!何してんのよ!? あ!?お前が、お前がやった? お前がお前が突き落としたのね!? そうなの!?……何で笑ってんのよ!この……悪魔!!」 そう罵ったんだ。
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