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次の記憶は、病院の診察室。
向かい合った医師が、哀れんだような表情をしている。
「私では手に負えない。しかし、代わりに優秀な医者を紹介します。紹介状を用意致しましょう」
医師は、無理矢理に微笑んだ。
そして気が付いた時――
「ちょっとぉ。いつまであたし、放ったらかしにする積もりぃ?」
「おやおや、これは私とした事が。失念していました」
妹の生首を大事そうに、慎重に抱えると、テーブル上にそっと置く。
優しく髪を撫で付けると僕の方を向かせた。
「ったくもう、立ち直るのに、どんだけ掛かってんのよっ」
生首、普通に喋ってますけど?
「あぁ」
ジャッキー医師が頭を掻いた。
「これはこれは私とした事が。――説明を要する事態ですかな」
ですねぇ。
「さて。どこから話す可きか。私と妻の馴れ初めからお話する可きですかな?」
「誰も聞いてませんよ」
「興味無いわよ」
「実につれない二人ですなぁ。そう言わずに耳を傾けては如何かな?」
「また話が進まなくなるじゃないですか」
「脱線したがりよね」
「本筋ばかり追えば一本道で遊び心に欠けると批判され、ちょっと横道に逸れれば纏まりが無いと切り捨てられる――自分でもやってみれば良いではないですか!」
「誰の立場に立って、誰に向けた発言なんですかそれは?」
「どうせ、ゲーム雑誌か何か読んで、一遍言ってみたくなったんでしょ」
ごほん、と咳払いした後ジャッキー医師は話を再開した。
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