No.1 河原での出会いと注意事項

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「使用上って何ですか、ランプの事? いや、それも違うような」 「宜しいかな? 先ず一つ」 僕は何が何だか訳が分からないながらも、神妙に聴き入る。 「開封後はキャップをしっかりと閉めて冷暗所で保存し、お早めにご賞味下さい。渇いたスプーンをお使い下さい。! びんはワレモノです。取り扱いには十分ご注意下さい」 「ランプですら無いですよ? 何と間違っているんですか?」 ご賞味言ってるし。 「これはこれは。失礼致しました。では仕切り直しを」落ち着き払った声で話を再開する。「先ず一つ。用途以外に使わない。乳幼児の手の届く所に置かない。使用後水で手をよく洗い、お肌の手入れを。換気をよくして使う。直射日光を避け、高音の所に置かない」 「だから何のだよ! 洗い物大好きですか? 『応急処置』も忘れずに読んでね!」 「これはこれは。失礼致しました」 僕は、初対面の、それも目上の人間に対する態度ではなかったなと反省、わざとらしい咳ばらいをして内心の動揺をごまかす。 「再度仕切り直しを。先ず一つ。造本には細心の注意を払っておりますが、万一、乱丁(ページの乱れ)や落丁(ページの抜け)がございましたら、小社販売促進部までお送りください。送料小社負担にてお取り替えいたします」 「本だよね? それは本だよね? 本の一部または全部を著作権法の定める範囲を越え、無断で複写、複製、転載、あるいはファイルに落とす事を禁じます!」僕は腕組みをして大きなため息を吐き出す。「説明する気あるんですか?」
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