蛙石

2/2
前へ
/100ページ
次へ
辿り着いた場所には 知る者などなく 穏やかに流れる時の 淋しさを噛み締めた 碧き空を仰げば 翡翠の涙が 煌めく小さな雫で 総てを流してく 幼きその姿に似合わぬ記憶 離れた景色の隅 藤の淡きに染まった 今は昔 生者の想いが 蛙石に舞い降りる奇跡 白蛇の魂 此処に有る限り 滅びの道はない 紅き空を仰げば彩る楓が 輝くその腕広げて 優しく呼び掛ける 涙はその姿を心に代えて 空より降り続ける強き力となるように 今は昔 変わらぬ想いを 遠く未来(さき)へと託した奇跡が いつか再び私を繋ぐと 強く信じている 今は昔 生者の想いが 蛙石に舞い降りる奇跡 白蛇の魂 此処に有る限り 滅びの道はない 今は昔 変わらぬ想いを 遠く未来(さき)へと紡いだ奇跡が 胸の奥で生んだ悲しみを 笑顔に変えるから 薄く行くは 人の記憶 想いだけが 抱かれ眠る
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加