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まひるの視線は玲奈で固定されたまま、教壇に向けられる事はなかった。
まだ昨日の事のように、あの日、拓海の胸に抱かれていた事が思い出せるのに。
声を聞いただけで、こんなに胸が高鳴るのに。
今、拓海の姿を見てしまったら……
整理を付けた筈の心が、また揺らいでしまいそうだったから。
まひるは教室に背を向け、廊下の窓辺に寄り掛かって耳をすます。
意識を集中させ、拓海の声だけを拾っていた。
「ママ、こんだん会に出なくてもいいの?」
玲奈がまひるの手を握りながら顔を覗き込む。
「いいの。前の時に出たから。さ、買い物して帰ろ」
首を傾げながら微笑むと、玲奈は大きな声で、うん!と返事をした。
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