光の射す方へ

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  窓越しに見える拓海は、目を細め、見送るようにまひるを見詰めていた。 二人だけ、まるで時間が止まってしまったかのように見詰め合う―― 「ママ?」 動きが止まったままのまひるに、繋いでいた手を引き、玲奈が呼び掛ける。 「あ……ごめんね。行こうか」 拓海の唇が、一瞬、微かに動いたような気がした。 確認する事はもう出来ない。 まひるは再び前を向いて歩き出した。 もう二度と逢う事はない拓海を背に感じながら…… .
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