最初の日―告白―

2/4
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
迷子になった少年が偶然出会ったお姉さんに優しくされて、一目惚れをしてしまう。 そんな、ありふれた人の錯覚によって生まれた恋愛感情。そんな、もっとも多いであろう片想いの形から俺の最後の恋が始まった。 俺は後1年で死ぬ運命だ。高校2年の夏に医者にそう宣告された。 ショックだった。普通に生きて普通に死んで行く。そんな当たり前なことさえ出来ないと知って目の前が真っ暗になった、俺の心から光が消えてなくなった。   そして学校に通う気力がなくなり、友達と遊ぶ元気もなく、ついには家族との会話も減っていった。生きる気力がなくなっていった。  そんな時、君に出会った。することもなく近所の公園で散歩をしてた俺に声をかけてきたのが君だった。 「どうしたの?そんな暗い顔して」 初めて見る顔はすごく輝いていて、羨ましかった。この人になら話てもいいかな、と思った。そしたら、とめどなく言葉がでてきた。必死になって自分の運命の残酷さ、つらさ、悲しみを伝えようとした。うまく伝えられた自信はない。まったく要領を得ない話し方をしたと思う。 しかし、それでも君は嫌な顔ひとつせずに聞いてくれた。茶々も入れずあきもせず、俺の言葉に耳を傾けてくれた。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!