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「じゃあこれは破いたりしても契約には影響のない、レポートみたいなものですか?」
「正解。依頼なら地獄に提出するんだろうし、契約の中には長期の物もあるから、忘れないようにするんじゃない?」
紅葉は足の届かない椅子の上で、足をブラブラと揺らしながら答えた。
「しかし、持って帰ってきてはまずいのでは?」
「まぁね。バレたらまずいかな。まぁ、契約者の名前を見てみてよ。そしたら僕がそれを拝借した理由が解るから」
紅葉に促され、レイは書類に視線を移す。
「これは…!」
契約書には朱鷺乃雅奈恵の名前がはっきりと印字されており、契約書の半分あたりまで経過を記入した所で、契約は不自然に打ち切られていた。
「なんでそこで終わってると思う?」
「寿命を戻した時点で等価交換を行わずに契約が終わってる事ですよね?」
紅葉が桧山から(本人曰く)借りてきた契約書の契約内容は、朱鷺乃輝未依と真田愛理の寿命確認と、寿命の移動が書かれていた。
寿命確認に関しては、声と記されているが、寿命の移動に関しては、その後は白紙が続いている。
「そ。いくら桧山でも、無交換は有り得ない筈。何となく…だけど、桧山の意思で打ち切ったようには思えないんだよね」
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