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契約書が白紙で止まっているだけなら、契約途中だとも考えられなくは無い。
しかし、桧山の朱鷺乃雅奈恵との契約書には、名前の部分を大きく赤のペンで三角印を付けられており、破棄の印が押されていた。
「この契約、多分依頼じゃなくて朱鷺乃雅奈恵が個人的に桧山を呼び出したんだと思うんだよね。何かそれらしき行動してなかった?」
「そう言えば、探していた本が見つかったとはおっしゃられていましたね」
頬杖をつく紅葉に、レイは記憶を辿るように答えた。
「それはいつの話?」
「紅葉が雅奈恵さんに会った日です。でもそれですと、誰が輝未依さんと愛理さんの寿命を移動させたんでしょう?」
「そうなるね。学校の誰かが嘘付いてるならその人だろうけど…この場合、朱鷺乃輝未依が1番怪しいかな。身近な人物なのに、真田愛理の話を聞く限りそこまでテンパって無さそうだし」
紅葉は椅子から立ち上がり、んーっと大きく伸びをすると、三階に上がろうと階段に足をかけた。
「ま、今日はこの辺にしてさ。そろそろ寝ない?僕もう瞼が開かない。限界」
紅葉は、ほら、と自身の瞳を閉じて見せると、レイを誘った。
「…そうですね」
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