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それからというもの、用事さえない時には、放課後の図書室に行き、有宮さんに話しかけていた。
「そういえば、何で有宮さんは、いつも屋上にいるの?」
僕の問いかけに、図書室のいつもの席で本を開いていた有宮さんが、頬を赤らめ、顔を強ばらせたまま、視線を僕に向けた。
本が逆さまだという事に、彼女は気づいていないのだろうか。
「おっ屋上で!?…ですか?」
語尾が少し裏返った事に、また頬を赤く染め俯いた。
…うん…可愛い
「その日の反省を吐き出してます…」
話によれば、彼女は人付き合いが苦手で、言いたいことが言えず、それを誰も居ない屋上で、いつも嘆いていたらしい。
その様子を、僕は偶然にも目撃していたわけだ。
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