82人が本棚に入れています
本棚に追加
- 数ヶ月前 -
中庭に出ていると、いつも人の視線を感じる。
「おい樹。お前また女子の注目集めちゃってんじゃねぇ?」
「ちくしょう!なんで俺には目もくれないんだ!!」
「お前は、おバカだからだろ」
いつも一緒にいるクラスメイトにからかわれた。
「僕パンダじゃないんだけど」
ボソッと呟くと、みんなの笑いがピタッと止まり、それぞれ溜め息をつき始めた。
「お前…本当に女子に無関心よな」
「もったいねえーから俺にくれ!その美貌!」
世の中不公平だ!!…と嘆かれた。
いや、それを僕に言われても…
そんなことを思いながら、チラッと校舎に目を向けると、たくさんの女子が窓から顔を出して、こっちに視線を向けていた。
正直怖い。
少し視線をズラすとある女の子が目に止まった。
あれ…あの子、どっかで…
地毛なのかちょっと髪が茶色がかっていて、セミロング。
その子は、僕と目が合ったと思うと、顔を赤らめてカーテンで身を隠した。
そんな仕草が可愛くみえたのは気のせいなのか、それとも彼女だからなのか、よくわからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!