singing thing in real

6/6
前へ
/12ページ
次へ
咄嗟に口を手で塞ぐのも虚しく、唇の隙間から何かが転げ落ちた。 ベッドの上に転がるそれはビー玉のように美しい人形の眼球であった。  次々と吐き出される人形の腕や脚、頭部、服の破片、胴体……そして血。 彼女の胃の内側から呼びかける、無音の断末魔。シーツは人形だったもの達と彼女の血液と胃液でいっぱいになった。  数少ない助けを求め、宙を泳ぐ彼女の視線、その瞳の奥、世界には……――
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加