泡となって消える運命の少女

2/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
燦々と地上を照らす太陽は、爽快感を越え、むしろ恨めしい。 信号で足を止めた人々は、殺意の眼差しで、空を仰ぎ見る。 その途中、汗を流す老若男女を嘲笑うかのように、街頭の大型ビジョンは、涼やかに水と戯れる水着美女を映し出す。 今が稼ぎ時のプールのテーマパークのCMだ。 灰色とは違う、美しくも作り物めいて見える、青い空。 流れるプールに波のプール、ウォータースライダー。と、楽しそうだが目新しさに欠ける遊戯場。 それぞれのプールで女の子達が楽しそうに手を振っている。 続いて、巨大な硝子張りのドームが映る。 自動ドアをくぐり、ふと視線をあげると、太陽の光が透き通る玉が浮いていた。 「水の楽園(アクアパラダイス)においでよ」 場面が切り替わり、先程の女の子達が手を振っていた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!