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「何者!?蘭丸様っ」
「っっ来るなっ!!」
みすずが刀を振ろうとした時、蘭丸の怒声が響いた。みすずは駆け寄りたい気持ちを必死に抑え、主の命に忠実に応じた。
蘭丸は相手が持つ槍を、己の刀で押さえながら叫んだ。
「貴方は柴田勝家殿ですね!?」
勝家の目が据えられる。
「男子か……女子かと思った」「……、よく言われます…」
苦虫を噛んだような顔をして、蘭丸は言うと、組み合っていた槍を刀で払った。その瞬間、勝家は後ろへ大きくさがり、二人の間には、人が3.4人ほど入れそうな間隔ができた。
その距離では蘭丸の刀はもちろん相手には届かないが、相手の槍も届かない。
蘭丸はどこか思いつめたような表情をしながら、勝家へと問い掛けた。
「勝家殿にお尋ねします…」
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