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「美濃は終わりですね。蘭丸」
蘭丸と呼ばれた青年は、視線を窓の青年へと向ける。
「そのように光秀様……。
まだ始まってもおりませんのに……」
「フフッ、まあ、そうですけど」
そういいながら窓を見ていた青年、光秀は蘭丸を見る。
蘭丸は暗闇の中、光秀をじっと見ると、少し考えて口を開く。
「……織田に寝返るのですか?」
少し心配そうな問い掛けに、光秀は不敵な笑みを見せる。
「さぁ、どうでしょう。……寝返るとしたら?あなたはどうしますか……?蘭丸」
蘭丸は下を向く。
「私(わたくし)の方は光秀様について行きましょう。それに、信長公ならば……天下を取れそうな気さえいたします」
「私も同感ですよ……」
蘭丸は顔を上げた。
「心配なのはあの子達ですよ……」
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