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「心配ですか」
光秀はそう呟いたあと、蘭丸に向かい苦笑する。
「あなたのことですから、近衛を近くに置いておきたいんじゃないですか?」
「みすずを……?」
頷く光秀を見て、蘭丸は目を閉じる。
瞼の裏側に映るのは、みすずの姿。
「そうかもしれませんね」
「15年間、ずっと一緒でしたからね。いくら大人になったといっても……」
蘭丸は続ける。
「ましてや女子…。本来ならば嫁として、女の幸福を掴めているはずだった…」
うっすらと、蘭丸は閉じていた目を開けた。
「だからせめて傍に置きたいと思う。……これは私のエゴですね」
みすずには申し訳ないと、思っている。
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