「ノイズ・チャンネル」

15/24
前へ
/76ページ
次へ
あとほんの3メートル程の距離。 緊張を抑え、恐怖心を噛み殺してさらに距離を詰める。 一言声を掛けてみるか? どうする? いきなり襲ってきたりとかしないよな?……っていうより、本当に子供の手みたいだ。 小学校低学年ぐらいかな……? …………っ! その時、右手に持ったロウソクの明かりに照らされて、白い手の子供が顔を出してこちらを覗きこんでいた。 肩まで伸びた柔らかそうな銀髪。透き通るような肌にエメラルドみたいに鮮やかな緑色の瞳。 真っ白なワンピースを着た、10歳ぐらいの女の子。 可愛いとかでなく、綺麗過ぎる顔立ち。ここまでくると逆に綺麗過ぎて怖いという感覚。 「……えっ!?…あっ……。」 自分でも情けないような声をだした。 どうやって声を掛ければいいのか、おかしな話しだが、そんなことが解らなくなっていた。 お互い、しばらく見つめ合う時間が過ぎる……。 何秒か、何十秒か、ひょっとしたら何分か、時間の感覚が吹き飛んで硬直している自分。 だが、女の子の方は違ったようだ。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加