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あとほんの3メートル程の距離。
緊張を抑え、恐怖心を噛み殺してさらに距離を詰める。
一言声を掛けてみるか?
どうする?
いきなり襲ってきたりとかしないよな?……っていうより、本当に子供の手みたいだ。
小学校低学年ぐらいかな……?
…………っ!
その時、右手に持ったロウソクの明かりに照らされて、白い手の子供が顔を出してこちらを覗きこんでいた。
肩まで伸びた柔らかそうな銀髪。透き通るような肌にエメラルドみたいに鮮やかな緑色の瞳。
真っ白なワンピースを着た、10歳ぐらいの女の子。
可愛いとかでなく、綺麗過ぎる顔立ち。ここまでくると逆に綺麗過ぎて怖いという感覚。
「……えっ!?…あっ……。」
自分でも情けないような声をだした。
どうやって声を掛ければいいのか、おかしな話しだが、そんなことが解らなくなっていた。
お互い、しばらく見つめ合う時間が過ぎる……。
何秒か、何十秒か、ひょっとしたら何分か、時間の感覚が吹き飛んで硬直している自分。
だが、女の子の方は違ったようだ。
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