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深い蒼のカーテンの奥。
床は白と黒のチェックのタイル。
数十本のロウソク台に囲まれた中心に、年代物のアンティークのテーブルが置いてある。
そしてその正面に、ハット帽を深く被った一人の老紳士が座っていた。
女の子は老紳士の隣の小さな赤い椅子にちょこんと座り、こちらの様子を楽しそうに眺めている。
「………ようこそ。ベルベット・トレインへ…。」
老紳士はえらくしわがれた高い声で歓迎した。
そして軽く会釈をすると、深く被っていたハット帽を取り、挨拶をした。
「…私はイゴールと申します…。本日、貴方をここへ御呼び立てしましたのは、私でございます…。」
老紳士の言葉にも驚いたが、なによりその容姿、ギョロっとした目に、鳥のクチバシのように尖った鼻が目についた。
正直……ちょっと……コワイ。
人の顔を見てこんな事を思うのはかなり失礼なのは分かってるんだが……
とりあえず、平穏を装いながら対応する。俺をここに呼んだのはこの私だ、という本人がいるのだ。
どういう理由にしろ、情報を聞き出さなければならない。
あの鍵の事も、この場所も。
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