22人が本棚に入れています
本棚に追加
純白の西洋甲冑に身を包んだ女神…、紅い腰布をはためかせながらアリアの身体から半分透けたように現れた“それ”は、美術彫刻のような顔をこちらに向けていた…。
その目に見つめられた途端、思考が停止した。
…………ドクン!
……何か、心臓の鼓動のような感覚が身体を駆け巡る。
頭が真っ白になる。
無機質な、それでいて暖かいような不思議な鼓動。
「あ……、…、…、」
自分が何か言葉を言おうとしているようだが、言葉になっているのかも分からない。
そして、だんだん心臓が締め付けられるような苦しみが込み上げて来る…。
「うっ…!!…ぐぁ!!」
突然の不快感と苦しみに胃の中のものを吐き出しそうになる。
前に倒れ込み、苦しみに耐える。
「なんだよっ…!?…これは!?」
思わず苦し紛れに誰にでもなく悪態をつく。
「……落ち着いて。」
俺の上から、静かに、なだめるようにアリアが語りかける。
顔面蒼白になりながら顔をあげると、まるで天使のような微笑みで右手を差し出したアリアがいた。
「自分を……自分自身の心を拒絶しないで。」
最初のコメントを投稿しよう!