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リビングに来ると朝ご飯が用意されていた。白米、豚汁、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、たくあんとキュウリの浅漬け。
これ以上無いパーフェクトな朝めしだ。
静姉はというと、まだ俺を待って自分も食べずにいたらしく、ご飯を目の前に頬杖をついて眼鏡越しにこちらを睨んでいる…。
静姉は今高校2年、俺は一個下の高校1年。二人とも1ヶ月程前にこの「丸居町」に越してきたばかりだ。
親父は大学の教授、フィールドワークが好きでいつも海外出張で遺跡発掘なんかやってるらしいが…詳しくは知らない。母は、俺が小さい頃に事故で亡くなったらしい。
実際の所、俺は親父に愛想尽かして出てったんじゃないかと思うんだが…。まぁ、事実を知ってるであろう姉も親父も、あまりそのことに関して話題にしたがらないし(当たり前か…)俺も母が居ないからといって、これといって寂しいと思った事が無かった…。
「コラ。陽介!なにボケっとしてんの!」
姉が早く食えと催促してきた。
この人も、律儀というか何というか、家族で食卓を囲む時は全員揃わないと手をつけないのだ。
俺は席に着いてお約束の言葉を口にした。
「…んじゃ、頂きま~す…。」
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